二次相続で相続税が跳ね上がる3つの理由と今すぐできる対策7選【税理士対談】
2026.07.18
30秒でわかる本記事のまとめ
- 二次相続(親の2回目の相続)は、基礎控除の減少・税率の上昇・小規模宅地等の特例が使いにくくなることで、一次相続より相続税が高くなりやすい
- 「配偶者に全部相続させれば税金ゼロ」で安心すると、二次相続で数千万円の差が出ることがある
- 今からできる対策は7つ。①一次相続での配偶者の取得割合 ②実家を継ぐ人の要件整備 ③生命保険の非課税枠 ④生前贈与 ⑤生前の修繕 ⑥賃貸不動産の活用 ⑦公正証書遺言
- すべてに共通する鉄則は「認知症になる前に、元気なうちに早めに動くこと」
- 二次相続まで見据えた相続税のシミュレーションは、相続専門の税理士法人NCPの無料相談で確認できます。
話者プロフィール
越阪部 洋之(税理士法人NCP 代表社員税理士)
相続専門の税理士として15年以上、相続税の申告件数は1,400件超え。BIG4税理士法人や大手相続専門税理士法人を経て、税理士法人NCPを設立。「最適かつ最高のサービスを、相続に関わる全ての人へ」をミッションに掲げ、士業を「サービス業」と位置付けた気軽に相談できる相続支援にこだわる。YouTubeチャンネル「相続専門税理士オサカベのホンネTV」では、相続の基礎・対策・実例を本音でわかりやすく発信している。
田中(聞き手)
YouTubeチャンネル「相続専門税理士オサカベのホンネTV」運営スタッフ。相続をこれから学ぶ立場として、視聴者と同じ目線で素朴な疑問を越阪部にぶつけていく。
▼本記事の内容は動画でも解説しています
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田中:越阪部さん、二次相続は一次相続より税金が上がりがちって、前に言ってたじゃないですか。僕、正直まだ疑っていて……そんなに違うんですか?
越阪部:全然違うんです。逆に田中君は、なんで二次相続のほうが上がると思う?
田中:わからないです(笑)。ただ、以前「配偶者の税額軽減」について聞いて、やっぱりこの制度が一番強力なんじゃないかと思ったんですよ。だったら、一次相続では「全部お母さんに相続させればいいんじゃない?」と考えてしまいます。
越阪部:そう考える方は、実際に少なくありません。ただ、配偶者の税額軽減を使って一次相続の税負担を抑えても、財産の分け方によっては、二次相続の相続税が大幅に増えてしまうことがあります。
今回は、二次相続で相続税が高くなりやすい3つの理由と、今から取り組んでおきたい7つの対策を、一つひとつわかりやすく解説します。
二次相続で相続税が高くなりやすい3つの理由
二次相続で相続税が高くなりやすい理由は、大きく3つあります。順番に見ていきましょう。
理由1. 基礎控除が600万円減って課税対象が増えるため

越阪部:二次相続で相続税が高くなりやすい1つ目の理由は、基礎控除が少なくなるためです。基礎控除とは、相続税がかかるかどうかの基準となる金額で、「3,000万円+600万円×法定相続人の数」で計算します。相続人が2人なら4,200万円までが基礎控除となります。
田中:それが二次相続だとどうなるんですか?
越阪部:配偶者が亡くなり、相続人が子ども1人になると、基礎控除は「3,000万円+600万円×1人」で3,600万円。一次相続より600万円少なくなるため、その分課税対象となる財産が増え、相続税も高くなりやすくなります。
理由2. 財産を分ける前に課税され税率が上がるため

越阪部:2つ目の理由は、相続人が減ることで税率が高くなりやすいためです。相続税は、財産の総額から基礎控除を差し引いた「課税遺産総額」を法定相続分で分け、それぞれに速算表の税率を当てはめて計算します。
田中:相続人が減ると、その計算が変わるんですね。
越阪部:そうです。相続人が2人なら課税遺産総額を2分の1ずつに分けて税率を適用します。一方、相続人が1人になると、より大きな金額に税率を適用することになるため、高い税率が適用されやすくなります。
理由3. 小規模宅地等の特例を使えないケースが多いため

越阪部:3つ目の理由は、小規模宅地等の特例を使えないケースが多いためです。自宅など生活の基盤となる土地の評価額を最大80%減額できる特例ですが、二次相続の相続人は子ども世代です。高齢の親と同居している方は、全国平均で約20%しかいません。
田中:8割引けないとなると、大きいですね。二世帯住宅はオッケーですか?
越阪部:二世帯住宅は、一定の要件を満たせば同居とみなされます。ただし、1つの建物として登記されていることが条件です。1階を親名義、2階を子名義というように区分登記されている場合は、二世帯住宅であっても特例は適用できません。
田中:え、同じ建物なのにですか?
越阪部:マンションをイメージしてもらうとわかりやすいです。見た目は1つの建物でも、それぞれが独立した住戸として扱われます。同じように、登記が分かれていると別の建物として扱われるため、同居とはみなされないんです。
絶対やるべき!二次相続で今からできる7つの相続税対策

二次相続で相続税が高くなる理由を踏まえ、ここからは今からできる7つの対策を紹介します。
対策1. 一次相続で配偶者の取得割合を慎重に決める
越阪部:1つ目は、一次相続の時点で、二次相続のことも含めて配偶者が取得する割合をちゃんと考えておくことです。
配偶者控除は「最強の節税だから」と、すべて配偶者に相続させると、一次相続では相続税がゼロでも、将来の二次相続で何千万円もの相続税がかかるケースがあります。
田中:税金の額だけで決めていいものなんですか?
越阪部:そこが一番大事なところで、判断基準は税金だけではありません。配偶者の意見を聞くと、「お金があると安心」という方が非常に多いんです。残された方の今後の生活を第一に考えたうえで、取得割合ごとに将来どれくらい相続税がかかるのかを把握しておいてほしいですね。
田中:家族会議がちょっとピリッとしそうですね……。ぶっちゃけ、揉めるご家庭は多いんですか?
越阪部:多いです。ただ、意外かもしれませんが、一次相続ではそれほど多くありません。子どもからすると、「お母さんがいるから、全部お母さんでいいんじゃないの」と考える方が多いので。
田中:さっきの僕じゃないですか(笑)。
越阪部:そうそう(笑)。だからこそ、親の意向を確認できない二次相続のほうが、遺産分割で揉めやすくなるんです。
対策2. 実家を誰が継ぐか、家族会議で決めておく

越阪部:2つ目は、小規模宅地等の特例を利用できるよう、要件を家族会議も含めて整理しておくことです。
実は同居していなくても、一定の要件を満たせば、この特例を適用できる場合があります。ポイントは、実家を相続する方が持ち家か賃貸住まいか、という点です。
田中:賃貸だと使えるんですか?
越阪部:はい。持ち家に住んでいる方は、この特例を適用できません。
一方、賃貸住まいの方には「亡くなる前3年以内に持ち家に住んでいない」という要件があります。実際には10年、20年と賃貸に住み続けている方が多いため、ほとんどの方が該当します。
田中:相続したら実家に住まないとダメ、とかはないんですか?
越阪部:住まなくても大丈夫です。申告期限である相続開始から10カ月以内まで実家を保有していれば、土地の評価額を80%減額する特例を適用できます。
田中:じゃあ特例のために賃貸を続ける、というのもアリなんですか?
越阪部:それは正直どうかなと思います。結婚して子どもができたら持ち家を構えたい、という人生設計もありますから。特例の要件を満たすかどうかも踏まえて、誰が実家を引き継ぐのかを家族会議で話し合っておくことが、二次相続に向けての大切なポイントですね。
対策3. 死亡保険金の非課税枠を活用する
越阪部:3つ目は、生命保険金の非課税枠の活用です。
死亡保険金は「500万円×法定相続人の数」まで非課税になります。相続人が2人なら、1,000万円まで非課税です。
田中:預貯金のままだと、どう違うんですか?
越阪部:預貯金として1,000万円を保有していると、そのまま相続税の課税対象になります。
でも、同じ1,000万円を死亡保険金の形に変えておけば、非課税枠を活用できます。
手元のお金を組み替えるだけでできるので、相続税対策として重要なポイントですね。
対策4. 生前贈与は証拠を残して計画的に行う
越阪部:4つ目は、生前贈与を計画的に行うことです。贈与は「あげる・もらう」という意思表示が成立していることが大前提で、口頭でも成立します。
ただ、税務調査に備えるためにも、書面で残しておくことをおすすめします。
贈与契約書を作成し、贈与する人ともらう人の双方が署名・捺印したうえで保管しておきましょう。
田中:なんで書面じゃないとダメなんですか?
越阪部:問題になるのは税務調査が入ったときです。その時点では、贈与した方がすでに亡くなっているケースもあります。贈与を受けた方が「これは贈与です」と証明するためにも、書面が必要なんです。
現金の手渡しも疑われやすいので、お互いの口座間で振り込みを行い、記録を残しておくことも大切ですね。
田中:ほかに気を付けるルールはありますか?
越阪部:相続人への贈与には、亡くなる前7年分が相続税の計算に持ち戻される「7年ルール」があるので注意が必要です。
田中:7年はなかなか長いですね…。避ける方法はないんですか?
越阪部:相続時精算課税制度を利用すれば、年間110万円までの基礎控除額については、7年以内の贈与であっても持ち戻しの対象外になります。
ただし、一度選択すると暦年課税には戻れないため、利用する際は相続に詳しい税理士へ相談することをおすすめします。
もう一つ、孫や子の配偶者は相続人ではないため、7年ルールによる持ち戻しの対象になりません。そのため、この2人に贈与すれば、年間110万円ずつ相続財産を減らしていくことができます。
対策5. 修繕やリフォームは生前に済ませる
越阪部:5つ目は、外壁の塗装や屋根の修理など、将来必要になる修繕を生前に行なっておくことです。生前に払えばその分預貯金が減りますし、修繕費にあたるものは相続財産に入れる必要がないので、相続税が安くなります。
田中:これ、早めにやっておかないで後悔する人が多そうですね。
越阪部:そうなんです。「亡くなったあとに実家をリフォームしたんだけど、その費用は相続税の計算で差し引けないの?」というご相談がよくあります。
田中君、どっちだと思いますか?
田中:経費になりますか?
越阪部:なりません。亡くなったあとに支払った費用まで差し引けるようになると、何でも認められてしまいますから。だからこそ、必要な工事は生前に済ませておくことが大切です。
田中:リフォームなら何でも対象になるんですか?
越阪部:部屋を増やすような増築は別です。減価償却を考慮した金額の一部は相続財産に含める必要があります。それでも、預貯金のまま残しておくより評価額を圧縮できるので、対策としては有効です。
対策6. 賃貸不動産を活用して評価額を圧縮する

越阪部:6つ目は、不動産を購入することです。これが最も大きな圧縮効果が期待できる相続税対策になります。購入した不動産を賃貸に出し、3年以上貸付事業を継続すれば、貸付事業用の小規模宅地等の特例により評価額を50%減額できます。50%はかなり大きいですよ。
田中: 気を付けることはありますか?
越阪部:不動産は高額な買い物なので、ご高齢の方にとっては当然リスクがあります。また、賃貸に出しても借り手がつかず、空室になる期間が発生する可能性もあります。
田中:それと、税制が変わるかもしれないという話も聞きました。
越阪部:令和8年度の税制改正では、貸付用不動産の評価方法を見直す案が出ています。これまでほどの圧縮効果は期待できなくなるかもしれませんが、一定の効果は残る見込みです。3年以上の要件がある以上、駆け込みでは間に合いません。検討するなら、できるだけ早めに動くことが大切です。
対策7. 公正証書遺言で相続トラブルを防ぐ
越阪部:最後の7つ目は節税の話ではなく、遺言書を整備して二次相続の争いを防ぐことです。二次相続では子ども世代だけになることが多く、場合によっては兄弟姉妹が相続人になるケースもあります。そのため、遺言書をちゃんと用意しておかないといけません。
田中:遺言書って、種類があるんでしたっけ?
越阪部:大きくは、自分で書く「自筆証書遺言」と、公証役場の公証人が作成する「公正証書遺言」の2つと考えてください(このほかに秘密証書遺言もあります)。自筆証書遺言は、日付や氏名、押印などの要件があり、財産の記載漏れも起こりがちです。
田中:書き漏れた財産はどうなるんですか?
越阪部:記載のない財産は遺産分割協議、つまり話し合いで決めることになります。話し合いが必要になるということは、結局もめる原因になってしまうんです。だから、公正証書遺言をおすすめしています。
田中:公正証書って、いくらぐらいかかるんですか?
越阪部:公証人の手数料がかかります。遺産の規模によって変わるので、公証役場のホームページで確認してもらうのがいいですね。専門家に依頼する以上、無料ではないことだけ覚えておいてください。
田中:わかりました。では越阪部さん、僕の遺言書を書いてください。
越阪部:もちろんです(笑)。まだ若いでしょ、と思うかもしれませんが、実は遺言書は早めに作成しておくことが大切です。内容はあとから何度でも書き換えられますから、まずは一度作って安心してもらうのが一番ですね。
認知症になる前の早めの対策が重要!

越阪部:ご高齢になると、認知症を発症する方も少なくありません。認知症によって意思能力がないと判断されると、遺言書の有効性が争われるケースもあります。
生前贈与はもちろん、リフォームや修繕といった契約行為も、認知症になってしまうと行うことができません。
田中:判断能力の低下が、相続対策の一番の敵ということですね。
越阪部:そうなんです。生前贈与は、途中でやめてもまったく問題ありません。避けたいのは、贈与しすぎてご自身の生活資金が足りなくなってしまうことです。ご自身の生活を守れる範囲で、できるだけ早めに二次相続の対策を始めていただきたい、というのが今回の結論です。
まとめ:二次相続は早めの対策で税負担を大きく減らせる可能性がある
二次相続では、基礎控除の減少や税率が高くなりやすいこと、小規模宅地等の特例を利用できないケースがあることなどから、一次相続より相続税の負担が大きくなりがちです。
だからこそ、一次相続の遺産分割を考える段階で、二次相続まで見据えたシミュレーションを行うことが大切です。
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税理士法人NCPについて
「相続税の申告、どこに頼めばいいか分からない…」という方へ。
税理士法人NCPは、東京・横浜・船橋を拠点とする相続税専門の税理士法人です。所属税理士は全員が相続専門キャリアを持ち、累計受託件数125,000件以上・相談件数400,000件以上の実績を誇るNCPグループが、相続税申告から遺産整理・生前対策まで一貫してサポートします。
- 相続税がいくらかかるか知りたい
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\初回相談無料!知識ゼロから「相談のみ」もOK!/税理士法人NCPへ相続について相談する※本記事は、令和7年4月1日現在の法令に基づいて制作されたYouTube動画「【2026年最新】絶対やっておくべき二次相続対策7選」(税理士法人NCP)の内容をもとに作成しています。最新の税制については税理士などの専門家にご確認ください。


